外資系企業で求められるスキルの一つとして
「高いコミュニケーション能力」
があります。
「高いコミュニケーション能力」と聞くと、
「それって英語がペラペラっていうことでしょ?」
と、つい思ってしまいますが、それは半分正解で半分間違っていると思います。
そもそも高いコミュニケーション能力とは一体何を指すのか? これまでの外資系企業での体験をベースに、詳しく解説してみたいと思います
参考:「外資系企業とは?特徴や日系との違いや向いてる人・合わない人を解説」
高いコミュニケーション能力=相手に要求を正しく伝える力
結論から言うと、高いコミュニケーション能力は
相手に対して要求を正しく伝える力
です。
外資系企業で働いていると、世界中の同僚と英語でコミュニケーションを取ります。
その中でも「何かをお願いするコミュニケーション」の数は非常に多いです。
「○○さん、これを明日までにお願いしたいのですが…。」
「○○さん、申し訳ないですが、至急この件について確認してほしいです!」
このようなやりとりを海外の人たちと行います。
ですが、そのようなお願いをするコミュニケーションでは、必ずといっていいほど“認識のズレ”が発生し、それを起因としたトラブルが発生するリスクがあります。
例えば、
「○○さんにメールを送ってほしいとお願いしたら、全然違う人にメールを送っていた…。」
「明日の○○時にこの設定を変更してほしい、とお願いしたらすでに設定が変更されてしまった…。」
冗談のように聞こえるかもしれませんが、外資系企業のビジネスの現場ではこのような初歩的なミスが起こることがあります。
世界中の優秀な人が集まって仕事をしているイメージがあり、
「細かいミスが起こることなどありえない!」
と思いがちな外資系企業ですが、世界中から色んな国の人が集まっている環境だからこそ、このような初歩的なミスが起こりえるのです。
これらの認識の相違からくるミスを未然に防ぐために、
「相手に正しく要求を伝える力」
が必要となります。
よく、
高いコミュニケーション能力=高い英語力=英語がペラペラ
という図式を頭の中で描く人も多いですが、高い英語力はあくまでも「手段」です。
英語ができるに越したことはありませんが、それが高いコミュニケーション能力と常にイコールとはならない点は注意しておきましょう。
関連記事:外資系企業に転職したければ英語がペラペラでなければいけないのか?(←テキストリンク)
常にシンプルで分かりやすい依頼を心がける
コミュニケーションの中で発生する認識のズレを防ぐためには、常にシンプルな内容を相手に伝えることが大切です。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように。
メールでもチャットでも、常に5W1Hを明確にし、常にシンプルな内容を心がける。
これが外資系企業の中で様々な人とコミュニケーションを取る上でとても大切なことです。
認識のズレは、
- 必要のない情報を記載する
- 個人的な主観と事実を混ぜて伝えてしまう
- 仮定や前提の話を事実と混在して伝えてしまう
- 自分だけしか理解できないオリジナルの表現を使っている
- 「やる」「やらない」の中間の表現が多発する”ふわっ”とした依頼内容になっている
これらの要素が重なった時に発生します。
認識のズレは時間が経てば経つほど大きくなり、その軌道修正に莫大な時間と労力がかかります。
時には重大なインシデントや人間関係のトラブルになって表面化することもあります。
そういったリスクを最小限に抑えるためにも、何かを依頼する時はシンプルな内容の依頼を心がけましょう。(※外資系企業のキャリアが浅い人は、先輩や同僚のメールやチャットの内容を参考にするといいと思います。)
出来る人のコミュニケーションは常にシンプル
英語の「文章」はシンプルであればあるほど、認識がズレる可能性が少なくなります。
意外かもしれませんが、単語のみで話すブロークンイングリッシュでも十分内容は伝わりますし、余分なノイズがない分、逆にそっちの方が明確でわかりやすい場合もあります。
ブロークンイングリッシュを推奨するわけではありませんが、シンプルなコミュニケーションはそれだけ伝わりやすい、ということです。
例えば、常にグローバルな環境で仕事をしている外資系企業のCEOは、常にわかりやすく、「高校生でもわかるのでは?」
と思うほどのシンプルな英語でコミュニケーションを取ります。
実際、僕が過去に一緒に仕事をしたことがあるアメリカ人のCEOは、電話やメールでは常にわかりやすいシンプルな英語の表現を心がけていましたので、まるで自分の英語力が飛躍的にアップしたかと錯覚するほど。
おかげで誤解や認識のズレはほとんどなかったことを今でも覚えています。
仕事がデキる人ほどシンプルなコミュニケーション。
これがグローバルに働く上で大切なことだと思いますのでぜひ覚えておいてください。
完璧な英語にこだわりすぎないことも大事
日本人にとって英語は母国語ではありません。
ですので、つい「正しい英語」を使うことにこだわりすぎてしまい、外国人とコミュニケーションを取るときに“学校のテスト”のような感覚で向き合うことがあります。
もしかするとあなたも経験があるかもしれませんが、
「間違ってはいけない」
「正しい英語を話さないといけない」
そんな強迫観念にも似た気持ちを持ってしまい、常に一言一句間違わないことを重視して英語を使ってしまうことはありませんか?
間違わないことは大切ですが、そこにばかりフォーカスしても良いことはありません。
例えばですが、
「実は先日、○○さんからこういった内容の依頼がありました。私たちも色々と内部で検討した結果、まずはそちらの見解も聞いたうえで今後の方向性を見据えてしっかりとやっていきたいと考えている。」
このような内容を海外の同僚にメールで送りたいとします。
この文章を全て「正しい英語」に翻訳してコミュニケーションを取ろうとすると、かなり複雑な文章になりますし、おそらく高確率で「何が言いたいのかわからないメール」になってしまいます。
こういう時ほどシンプルに考えましょう。
無駄な情報をそぎ落として、
Hi,
He requested this.
So, we would like to have your opinion.
Thanks,
これくらいの内容に絞っても十分意味は伝わります。
正しく英語を伝えようとし過ぎてしまうと、無意識のうちに難解な文法や単語を使ってしまい、必要のない情報までピックアップしてしまいます。
あれこれ悩んだあげく、結局何を言いたいのか自分でもわからなくなってしまうことがありますし、余計な誤解や認識のズレを生む可能性が高くなります。
迷った時はシンプルに。
これを心がけるといいでしょう。
まとめ
高いコミュニケーション能力は高い英語力ではなく、正しく相手に要求を伝える力です。
難しく、難解な「完璧な英語」を使う必要はありません。 認識のズレを未然に防ぐためにも、シンプルな英語を使ってコミュニケーションを取ることを心がけてみてください。
この記事の執筆者
MASA
関西のとある田舎出身。新卒で入社した証券会社を半年で辞めてカナダ留学へ。帰国後は都内の外資系金融会社のミドル・バックオフィス担当。ハードに働く日々を過ごす。その後、憧れだった外資系銀行に転職。海外勤務を経験。退職後は地元で起業。途中、英系の外資系金融会社のプロジェクトに参画し、完全アウェーの職場で日々奮闘。帰国後、田舎の可能性を探求しながら日々泥臭く生きています。
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