外資系企業とは?特徴や日系との違いや向いてる人・合わない人を解説

日本での外資系企業の定義

外資系企業とは、日本国外に本社を置く企業が日本に進出し、日本国内で事業を展開している企業のことを指します。これらの企業は、海外市場で得たノウハウや資本、技術を活用して、日本市場で競争力を持つことを目指して日本に進出しているため、競争力に優れている傾向があります。

日本以外での外資系企業の定義

日本以外での外資系企業とは、ある国の国内企業が他の国に進出し、その国で事業を展開している企業を指します。国によって外資系企業の定義は異なる場合もありますが、一般的に資本の出身国が異なる点は共通です。

外資系企業の特徴

外資系企業には、大きく以下のような特徴があります。
・グローバルな視点:外資系企業は国境を越えた事業展開を行っていることから、単一の国で事業を行っている企業に比べてグローバルな視点を持っている傾向があります。
・先進的な技術やノウハウの導入:本国で培われた技術やノウハウを持ち込む外資系企業は、進出先での競争力が強みです。本国での成功が裏付けとなっているため、総じて優れた技術・ノウハウを持つと言えるでしょう。
・多様性と国際性:外資系企業には異なる国籍や文化を持つ社員が在籍しています。社員同士のコミュニケーションの円滑化を図り、多様性を尊重した国際的な環境を提供しています。

外資系企業の雇用形態

日系企業と同様に、外資系企業には正社員や契約社員、パートタイムなど、さまざまな雇用形態があります。また、一部ではフレックスタイムやリモートワークといった柔軟な働き方の選択肢も提供されている点も同様です。

雇用形態は同じでも意味合いが異なる

日系企業にはかつての「終身雇用」のような長期雇用慣行が残っていますが、外資系企業では長期雇用慣行が一般的ではないと言われています。
実際に一部の外資系企業では退職パッケージと呼ばれる退職金の一種が制度に組み込まれており、業績不良や組織内でのコミュニケーション力、組織再編などを理由に退職勧告を出されるようです。もちろん、日本の労働契約法に則っているため解雇を強制されることはありませんが、退職勧告を出される経緯を考えると、退職勧告が直接の退職理由になり得るでしょう。
そのため、同じ正社員であっても、外資系企業と日系企業では意味合いが異なると解釈できます。

外資系企業の給与形態

外資系企業では、一般的にパフォーマンスや成果に応じた評価や報酬体系を採用しています。固定給に加えてインセンティブやアウォードといった報酬要素が多く、成果によって月の受け取り金額が変動する場合もあります。

また、年俸制を採用している企業では、年収額を12で割った金額が月の受け取り金額となります。

外資系企業のインセンティブ

インセンティブとは、日本での歩合給とほぼ同じ意味です。個人の成果に応じて変動する歩合給をインセンティブと呼ぶ傾向があります。
企業によって異なりますが、外資系企業では「毎月一定金額の基本給+インセンティブ+交通費」という給与形態が珍しくありません。そのため、インセンティブは月の受け取り金額が変動する主な原因となります。

特有の報酬「アウォード」とは

アウォードは、外資系企業に特有の報酬で「賞」のようなものです。企業の業績アップに貢献した人材やそれに準じる評価の人材に対して支払われます。
総会が年1回行われる会社では、アウォードも年1回が一般的です。

日本で有名な外資系企業の例

日本で有名な外資系企業の例として、以下のような企業があります。
【日本で有名な外資系企業の一例】
・Apple Japan合同会社
グーグル合同会社
日本マイクロソフト株式会社
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社…など

「外資=メーカーや製造業」というイメージが強い理由

一部の人々にとって、外資系企業といえばメーカーや製造業を連想することがあります。これは、過去に製造業や自動車産業などに進出した外資系企業の印象が原因と考えられます。
【外資系製造業の一例】
P&G Japan合同会社
ネスレ日本株式会社
ビー・エム・ダブリュー株式会社
ポルシェジャパン株式会社

役員以外が日本人の外資系企業もある

一般的には外国籍の役員が多いイメージのある外資系企業ですが、実際に日本国内で事業を展開している外資系企業の中には、役員以外にも日本人社員が多く在籍している企業もあります。仮に、日本人が9割を占めていても、資本が海外にあれば外資系企業にカテゴライズされるのが一般的です。

外資系企業で働くメリット

外資系企業で働くメリットには、以下のようなものがあります。
・グローバルな経験を積める
・キャリアが成長する機会を得られる
・先進的な環境に触れられる

グローバルな経験により得られるもの

グローバルな経験を得られる環境は、異なる言語やコミュニケーションスタイルに触れる機会が豊富です。異文化間の円滑なコミュニケーションには効果的なコミュニケーションスキルが必要なため、異なるバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーションを通じて対話力や調和性を養えるでしょう。
また、グローバルな経験は異文化に触れる機会です。異なる文化を理解し、相互尊重の視点を持つことで、柔軟性や適応力の向上を期待できます。
さらに、グローバルな経験を通じて、異なる視点やアイデアに触れることができます。これらは創造性や問題解決能力を刺激する、新たな発想やイノベーションの源です。異なる文化や業界のベストプラクティスを学び、自身の知識と経験を結びつけることで、より幅広い視野を持つことができるでしょう。
これらのメリットは、グローバルな経験が個人の成長とキャリアの発展に与えるポジティブな影響を示しています。グローバルな環境での経験は、多様な人々との協力や世界的なビジネスの理解において貴重な資産と言えます。

キャリアが成長する機会を得られる

外資系企業では、グローバルな組織の中でのキャリア成長機会が豊富であり、個人の成長が期待されます。また、国際的なネットワークを築くことで、将来のキャリアチャンスや機会が広がることもあるでしょう。

先進的な環境とリソース

外資系企業は資本の出身国で成果をあげた先進的な技術やリソースを活用しており、最新の業務手法やそれらを活用する環境に触れる機会があります。

外資系企業で働くデメリット

外資系企業で働くデメリットには、以下のようなものがあります。
・高い競争性
・強いプレッシャーを感じる場合がある
・文化や言語の違い

高い競争性

グローバルな競争が激しい外資系企業では、常に大きな成果や高いパフォーマンスが求められる傾向です。求められる水準を維持するためには、相応の努力が必要になるかもしれません。

仕事のプレッシャー

外資系企業では、グローバルな市場の要求に応えるために、多忙な状況や厳しいスケジュールが発生することがあります。一日あたりの業務量が多くなることもあるでしょう。

文化や言語の違い

外資系企業は異なる国籍や文化を持つ社員が多く、それぞれの文化や言語環境への適応力が必要です。コミュニケーションに苦手意識を持つ人には、ストレスの原因となるおそれがあります。

実際に外資系企業に転職した人の声

外資系企業への転職理由は多岐にわたります。一部の人々は英語を使える国際的な環境やキャリア成長の機会に魅力を感じているようです。また、リモートワークなど働きやすい環境を求めて転職を決める人もいます。

外資転職エージェント・営業職

”グローバルな環境で、英語が飛び交うほどでなくても会話で使えることが希望でしたので、外資系企業を希望しておりました。”

外資系自動車部品メーカー・技術営業担当

”転職のきっかけは、家庭の都合とコロナのことが重なったことです。より英語を使いたいからというよりは、もう少し今の自分の事情に合った職に就きたくて探し始めました。今の仕事を選んだ決め手は、フルで在宅で仕事ができるところです。また給与が少し上がるというところも魅力でした。”

外資系臨床試験システム会社・Webエンジニア

”会社のポリシーから上下関係がフラットで、CEOとも気軽に話せる雰囲気です。仕事の開始時間なども、コアタイムぐらいはありますが、フレックスで自由度が高いです。また、英語力を求められる所で働きたいという希望がありました。あと、好きであればですけど、外国にいけたりする機会があるのは外資系企業の魅力だと思います。”

外資系IT・ヘルプデスク

”できれば外資系で探していました。理由は語学力を活かせるところです。また、多様性を重視する環境で働きたいと思っていました。バックグラウンドが違う方々と接したりすることで、自分にとっても勉強になると思ったんです。”

外資系企業が「やめとけ」と言われる理由

一部の人々は、外資系企業で働きたい人に対して「やめとけ」と助言することもあります。デメリットとして挙げた高い競争や仕事のプレッシャー、文化の違いなど理由は様々です。
そのほか、個々の適性やライフスタイルに合わない場合に、外資系企業は向いていないと感じる人もいます。
ただし、感じ方は人によって異なるため「実際に働いてみなければわからない」点では日系企業と共通です。

外資系企業に向いている人の傾向

一般的に、以下のような傾向を持つ人は外資系企業に向いているとされています。
・グローバルな視野を持っている人
・多様性や異文化環境に興味を持つ人
・高い競争環境やプレッシャーに耐えられる人
・成果やパフォーマンスに重点を置ける人

グローバルな視野を持っている人

グローバルな視野を持つ人は、単に自身の国や地域の枠にとどまらず、世界的な視点で事物を考え、国境を越えたビジネスや文化的な交流に興味を持ちます。彼らは異なる国や文化に対する理解を深め、国際的なチームやプロジェクトで働く際にも柔軟性を持ち、異なる視点や文化を尊重できる人です。

多様性や異文化環境に興味を持つ人

多様性や異文化環境に興味を持つ人は、他の人々と異なるバックグラウンドや文化的な要素を持つ人々との接触や交流を積極的に求めます。異なる文化や習慣に対する好奇心や理解を持ち、異なる意見や価値観を尊重する姿勢を持っているからです。
また、異文化環境でのコミュニケーションや課題に対して柔軟性を発揮し、円滑な協力関係を築くことができます。

高い競争環境やプレッシャーに耐えられる人

高い競争環境やプレッシャーに耐えられる人は、困難な状況下でも自制心や冷静さを保ち、効果的な問題解決や目標達成に向けて行動可能です。彼らはストレス管理のスキルを持ち、柔軟性や適応力を発揮して、変化や困難に自分自身で対処できる傾向があります。
また、競争環境でのチームワークや共同作業においても、ポジティブな姿勢を持ちながら協力することができます。

成果やパフォーマンスに重点を置ける人

成果やパフォーマンスに重点を置く人は、目標を設定して、それを達成するために努力し続ける人です。結果にコミットし、自身のパフォーマンスを向上させるために必要なリソースやスキルを活用します。彼らは効率的な時間管理や優先順位の設定が得意であり、目標に向かって着実に進みます。
さらに、成果を評価しフィードバックを受け入れ、自己成長を追求する意欲を持っている傾向があります。

外資系企業に向いていない人の傾向

一般的に、以下のような傾向を持つ人は外資系企業に向いていないとされています。
ただし、あくまで一般論のため、前述の「外資系企業が『やめとけ』と言われる理由」と同様に、実際に働いてみなければわからないことは頭に置いておいてください。
・国内志向や地域密着型の働き方を好む人
・高い競争や仕事のプレッシャーに対応できない人
・異文化環境や言語の違いに適応できない人
・安定性やワークライフバランスを重視する人

国内志向や地域密着型の働き方を好む人

国内志向や地域密着型の働き方を好む人は、自身の地域や国内のビジネスや文化に重点を置き、それに関連する仕事やプロジェクトに取り組むことを好みます。彼らは地元のコミュニティや関係者とのつながりを大切にし、地域のニーズや要件に合わせた活動を行いたいと考えます。そのため、活動の範囲を海外に持っている外資系企業で働くのは難しいでしょう。

高い競争や仕事のプレッシャーに対応できない人

高い競争や仕事のプレッシャーに対応できない人は、競争環境やプレッシャーが高まると不安やストレスを感じ、それらに対処する能力やスキルに欠けている傾向があります。彼らは自己管理やストレス管理の方法を見つけることが難しいことから、困難な状況下での冷静な判断や効果的な問題解決に至るまでのハードルが上がると言えるでしょう。

異文化環境や言語の違いに適応できない人

異文化環境や言語の違いに適応できない人は、異なる文化や言語に対して理解や適応が難しい傾向があり、円滑なコミュニケーションや異文化チームでの協力が難しい場合があります。そのため、文化や言語の違いが少ない企業の方が向いているとされています。

安定性やワークライフバランスを重視する人

安定性やワークライフバランスを重視する人は、仕事とプライベートの調和を重要視し、長期的な安定性や安定した勤務条件を求めます。彼らは予測可能なスケジュールや勤務時間、定時退社や休暇の充実などを重視し、仕事以外の要素にもバランスを持たせたいと考えます。
多忙な状況や厳しいスケジュールが発生する外資系企業で働くのは難しいかもしれません。

向き不向きもダイバーシティの一つ

一般的に、上記のような特徴を持つ人々は外資系企業に適していないとされていますが、特定の環境や働き方においては適しています。異なるニーズや優先事項を持つ人々が存在することは自然なことであり、個々の人が自身の理想的な働き方を見つけることが重要です。

まとめ

本記事では、外資系企業についての概観と特徴、また働くメリットやデメリット、人々の声などについて解説しました。外資系企業での就職やキャリア選択を考える際には、自身の適性や目標との一致を考慮し、慎重な判断をすることが重要です。本記事を判断材料に、より良い環境で就職できることを願っています。

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