外資系銀行とは?仕事内容や企業例・転職のポイントを解説

外資系銀行とは

一般的に銀行というと預金業務を扱う銀行が思い浮かびますが、外資系銀行というと外資系の投資銀行を指すことが多いです。外資系の投資銀行は株価チャートが表示されたモニターを何台も監視しながらトレードを行うイメージですが、外資系銀行で働いているのはトレーダーだけではありません。どのような職種があるのか、どのような人材が求められるのか、詳しく説明します。

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外資系銀行の仕事内容と特徴

投資銀行はクライアントに対し、資金調達やM&Aのサポートを行うのが主な業務です。

外資系の投資銀行はしばしば証券会社と混同されます。事実、日本では証券会社が投資銀行と同じ業務を行うことが多く、投資銀行としての業務のみ行っている会社はほとんどありません。

投資銀行と証券会社の大きな違いは、業務の対象です。証券会社は個人も対象にしていますが、投資銀行が取り扱うのは法人のみ。いわゆるBtoBに限定されます。証券会社では投資者間の売買を仲介する業務を行いますが、投資銀行ではクライアントが発行する証券をいったん自社で引き受けてから販売します。

〇外資系投資銀行の企業例

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外資系銀行の年収

外資系銀行は高収入というイメージがありますが、実際のところ人によります。外資系企業では基本給に当たるベース給に加え、成果に応じたインセンティブ給があるからです。思うような成果が出せなければ、外資系銀行だからといって高収入になるとは限りません。

外資系銀行にはアナリスト、アソシエイト、バイスプレジデント(VP)、マネージングディレクター(MD)というキャリアパスがあり、階級が上がればそれだけ基本給も上がっていきます。

一般的に、入社したばかりのアナリストは年収600万円~800万円からはじまり、3~4年経験を積んだ後に昇進するアソシエイトは年収1,000万円~1,500万円。さらに経験を積んで階級を上げると2,000万円を超えてきますこれに加えて投資銀行の業績や個人の評価に応じたボーナスも支給されるので、日本の企業と比べて基本的には高収入になる可能性は高いでしょう。ただし、過去のリーマンショックやこの度の新型コロナウィルスによるパンデミックなど様々な世界情勢に大きく左右されるので、収入の振れ幅は日本の企業よりも大きいです。また、日本の企業のように退職金が支給されないことは覚えておきたいポイントです。

外資系銀行は業界全体の景気に左右されるところも大きいです。マーケットが低迷しているような時期だと、企業側でも大規模な資金調達を控えるため、どの投資銀行も成果を上げにくくなります。給与が減るだけでなく、最悪の場合はリストラの可能性があることは覚えておきましょう。昨日まで隣のデスクで一緒に働いていた人が翌日には居なくなっていた、ということなどは比較的よくあることです。

外資系銀行の職種と必要なスキル

外資系の投資銀行にはどのような職種があるのでしょうか。必要なスキルと合わせて解説します。

投資銀行部門(IBD)

投資銀行の花形とも言える部署。クライアントの資金調達サポートや、M&Aについてのアドバイスを行います。

資金調達ひとつとっても、債券を発行するのか、株式を発行するのか、別の手法を使うのか、最適な調達方法はクライアントによって異なります。方針が決まったら、どのように売り出すのか、アドバイスを行うのも大事な仕事です。

投資銀行部門に求められるのは体力と根気です。時期によっては満足な睡眠時間が取れないほど働かなくてはなりません。そんなときでも期日までに仕事をやり遂げる体力や、どんな地味な仕事でもコツコツ行う根気が求められます。

また、世界の政治経済は24時間365日常に動いているので、常に最新の情報をキャッチする情報感度の高さも要求されます。

マーケット部門

トレーディングが行われる部門で、複数のモニターでチャートをチェックしながら取引を行う投資銀行のイメージはここから来ています。マーケット部門の中にもセールス、トレーダー、ストラクチャーという職種があります。

セールス

クライアントとの取引を担当します。新規顧客の獲得も大事な仕事。高いコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が必要です。また、たとえ自身が外資系投資銀行の社員でも相手が日本企業の場合、日本人特有の商習慣(飲みニュケーションや稟議と根回し文化など)を熟知して、それに合わせた対応をする能力も求められます。

トレーダー

市場が開いている時間にはチャートのチェックが欠かせません。刻々と移り変わる情勢を見極め、先読みする能力が求められます。個人では扱わないような大量の資金を扱うため、数秒単位での判断や思い切りの良さが必要です。また、時差に関係なく常に世界中のマーケットの動向にリアルタイムで対応できる体力・タフさが必要です。

ストラクチャー

新たな金融商品を作り出すのがストラクチャーの役目。どんな組み合わせなら顧客のニーズに応えられるか考えるために、数的センスやマーケティング能力が必要となってきます。また、金融商品を作り出すにあたっては、ある程度のリスクを覚悟できる大胆さも求められます。

リサーチ部門

業務遂行のためのリサーチを行う部署です。M&Aは企業の規模を大きくするために欠かせない手法ですが、闇雲に合併や買収を行っていては先行きが危ぶまれます。M&Aを成功させるためにも、業界全体のことや買収企業の状況を正しく把握しなければなりません。数字を元にレポートを作成する論理的思考はもちろん、経済全体を見渡すような総合力も求められる部門です。また、市場とは政治経済だけではなく人間同士の感情的要素にも大きく左右されるので、心理学や歴史や文学など幅広い分野の素養がある方が好ましいとも言えます。

アセットマネジメント部門

日本の企業でもしばしば「○○アセットマネジメント」という会社名が使われています。顧客から集めた資金を運用して利益を得るのが主な仕事です。投資信託をイメージするとわかりやすいでしょう。株式、債券、不動産などさまざまな商品を組み合わせる必要があるため、数字に強いことや、各金融商品に対する知識が深いことが求められます。

マーケット部門ほど瞬時の判断が求められないことから、投資銀行の中では比較的ゆるやかな働き方ができると言われていますが、顧客の資産を減らしてしまっては収益が得られません。ほかの部門と同等、あるいはそれ以上に豊富な金融知識が必要です。そして、リサーチ部門と同様幅広い分野に渡る知識を基に市場の動向を読み解き資産運用に活かす必要があります。

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外資系銀行で求められる人材像

職種によって求められるスキルは異なりますが、どの部署でも求められる基礎的な人材像は同じです。

心身ともにタフな人

投資銀行が取り扱うのは経済全体といっても過言ではありません。経済状況によっては思うような成果が出せないこともあります。そんなときでもくじけず、できることをコツコツやっていくのが重要。時期によっては激務になるため、体力はあればあるほどよいでしょう。

判断力にすぐれている人

株式市場や為替相場は刻一刻と変わるものです。一瞬の判断ミスが大きな損失になることも少なくありません。何かあればすぐに対応できる判断力が求められます。

判断力を身につけるためには普段からの勉強や情報収集が欠かせません。向上心を持ってリサーチを続けていける人材が求められます。

高い英語力でコミュニケーションが取れる

外資系金融にとって英語力は必須です。顧客に説明するときも、社員とやりとりするときも、細かなニュアンスの違いが意識のずれを招いてしまいます。

単に英語が話せるだけでなく、グローバルなマインドを持っているかどうかも試されます。国際情勢にも意識を向けて、ネイティブクラスの英語力を目指すことが必要です。

大局を見渡す力がある

株式市場や為替相場は国際情勢や社会の動きの中で変化します。金融分野にだけ注意を払うのではなく、広い視野を持って状況を見極めなければなりません。

今だけではなく、将来に意識を向けるのも重要です。リーマンショックやコロナショックのような事態はいつ起こるかわかりません。大きな変化が起こったときにどうするか、日ごろから想定しておくことが大事です。

勉強が苦にならない人

外資系銀行では英語力や経済、金融の知識が必須です。もっとも、入社前から完璧に身についていなくても構いません。重要なのはわからないことを自分で調べる力や、これから勉強して身につけていこうという向上心です。これまでまったく関わってこなかった分野のクライアントを担当することもあるでしょう。そんなときも細かい作業を嫌がらず、その業界を知っていくのが大事です。

外資系銀行は高学歴の人が採用されやすいと言われています。それは単に大学が有名というだけでなく、目標に向かって勉強できるという点を評価されているのでしょう。学歴に自信がないという人は、これからどれだけの伸びしろがあるかアピールすることが重要です。

過去にM&Aや金融業務に関わった経験がある人

未経験者でも外資系銀行への転職は可能ですが、やはり経験者よりは狭き門になります。特に30代になると即戦力が重要。金融業界での経験があれば、各業界の状況や金融商品の特徴など、基礎知識は身についていると考えられるので有利です。

未経験の場合でも、前職で身につけてきたスキルや経験をアピールしておきたいところ。まったく関係のない業界だったとしても、それがクライアントとのやり取りに役立つかもしれません。

参考:「外資系企業に向いている人、向いていない人の特徴

外資系銀行への転職方法

外資系銀行に転職するには、転職サイトや転職エージェントを利用するのが近道です。投資銀行とは離れた業界にいた人も、まずは自分の職務経歴を登録してみましょう。外資系銀行への転職は狭き門と言われていますが、たまたまポジションが空いていて滑り込める可能性もゼロではありません。

外資系銀行はシビアな業界?

外資系銀行の仕事内容の特徴や、求められるスキルについて説明しました。外資系投資銀行は実力主義のシビアな業界です。仕事では普段見られないような大きなお金を動かすことになります。高収入だからという理由だけでは、転職できたとしても長続きしません。外資系銀行でどんな仕事をしたいのか、どんなスキルを磨きたいのか、転職活動を行っている間にしっかり考えておきましょう。


この記事を書いた人

F様

大学卒業後(法学士)約25年に渡り外資系航空会社、高等教育機関国際関係部門、ドローン(無人航空機)スタートアップ等でマーケティング・事業開発・セールス等に従事。現在はフリーランスとして多様な業界業種のビジネスコンサルティングを手掛ける。
事業戦略から実務まで幅広い守備範囲を有し、限界まで脳みそを絞って考え抜きクイックにアウトプットにつなげるスタイルが特徴。また、外資系企業・国際業務経験で育んだ国際感覚と英語力を駆使し、常にワールドワイドな視点からのコンサティングを提供している。

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