つい先日のお話です。
リアルな話なので若干脚色も入れつつ書きますが、外資系勤務時代にお世話になっていたCEO(C氏)に誘われて、京都の5つ星ホテルでの会食に招待いただきました。
事前にリサーチしていたのですが、到着して改めてびっくりしたのがホテルの格式の高さ!
一泊15万円からの価格通り、全てがラグジュアリー。
ロビーは海外から来たと思われる外国人グループの方たちで賑わっていて、海外に出張に来たような雰囲気です。
夕食会場のレストランは8割が外国人、旅行に来たと思われる方達でほぼ満席。
メニューを見ると、一番安いもので2,000円のコーヒーと、久しぶりの5つ星価格に目玉が飛び出そうになりました。
さてさて、会食をしながら近況報告。
どうやらC氏は今は某グローバル金融会社の会長職になり、ヨーロッパのとある国に家を購入、再婚した若い奥様と悠々自適に暮らしているそうな。
なるほど、目の前のモデルのような金髪の女性が奥様か…。
どこからどうみても20代。
「漫画で見るような典型的な富裕層の行動パターンやん!」
と心の中でツッコミながら、楽しく会食をしました。
目に見えない信頼値を高めよう
さて、本題に入ります。
ドライと言われている外資系企業の人間関係ですが、その人間関係は意外なほどウェットな部分もあります。
僕が経験した環境に限っては、仕事以外にもプライベートの付き合いは普通にありました。
週末の昼間に上司とランチというのは普通でしたし、仕事が終わった後にディナーに誘われることも当たり前。
仕事と関係のないプライベートの用事もガンガン頼まれましたし、それを喜んでやりました。
だからこそ信頼関係を築くことができたのだと、今でも思っています。
断る?
その選択肢はありえません。
合理的に考えれば「仕事と関係のないタスクは断る」というのは当然のように思いますが、人間関係には目に見えない”信頼値”というものが存在し、それを増やす方法があるのなら、絶対にやるべきです。
会社を辞めても、転職をしても、その会社で築いた人間関係というのは、良くも悪くもずっと付き纏います。
業界が狭いほど、評判はつきまといますし、そのおかげで得をすることもあれば、損をすることもあります。
転職の際は前職の人間にチェックが入ることもあります。
”信頼値”が高ければポジティブな情報を提供してくれますし、逆に信頼値が低ければ、ネガティブな情報が届けられ、転職活動の足枷になることがあります。
この信頼値は目に見えるものではありませんし、どこかに数値として存在するものではありませんので、今どれくらいの値なのか自分で気づくことができません。
ですが、
「会おうよ!」
「最近どうしているの?」
共に仕事をした仲間からそんな連絡がくるという事実こそが、”信頼値”の高さのバロメーターの一つだと考えます。
ブラックな職場から逃げる前にやるべきことは?
結局何が言いたいのかというと、最近の風潮として
「ブラックな職場なら逃げろ」
「ダメな上司は相手にするな」
という、安易な逃避があたかも賞賛されるような傾向があるように見え、そのせいで、”信頼値”を貯める機会を自ら放棄している人がいるのではないかと危惧するからです。
確かに、いわゆるブラックな職場や上司というのは世の中に一定数存在し、そういった環境で苦しんでいる人がたくさんいるのは事実です。
それは一刻も早く逃げた方がいいです。
ただ、十分な検証もないまま安易に
「この職場はダメだ」
「この上司はブラックで話にならない」
というレッテル貼りをしてしまうことは、その職場での可能性を自ら閉ざしてしまうことになるのではないかと思うからです。
経験上、職場や上司がもともとブラックというよりは、自分の解釈と態度が相手にそうさせ
てしまっているところも往々にしてあります。
冷静に自分を振り返ってみてください。
結果が出せていない、
自分の態度が悪い、
コミュニケーションを自発的に取ろうとしていない、
相手の立場と職責を理解していない、
などなど、様々な要素が重なり、職場や上司を「ブラック化」させている場合があります。
実際、今こうして食事に誘ってくれるC氏も、在職中はなかなかのブラックっぷりで、鬼のような上司でした。
ぶつかることも多々あり、正直嫌な面もたくさんみてきました。
ただ、自分はその時にできるベストは尽くしましたし、距離ができた今冷静になって思うのは、それは職場の中の役割上、仕方のなかったことなのだということ。
青臭い話ではありますが、「やるべきことはやった」という事実があるからこそ、そこに”信頼値”が積み重なる余地があったのかなと。(もちろん、最終的に評価する選択肢は相手にありますが)
その結果が、今でも連絡が来て食事に誘われる関係なのだと思います。
「今の会社?ブラックでまじでだるいわ。他にいい職場ない?」
そんな風に判断するのも一つの生き方ですし、合理的でスマートではあると思います。
ただ、
もともとその職場がブラックなのか?
もともとその上司自身がブラックなのか?
そこはしっかりと検証したほうがいいと思います。
本記事のまとめ
転職するたびに、”信頼値”を失っていく。
そんな生き方をするくらいなら、泥臭くてもいいから、今の職場で一つ一つを積み上げていく。
そうすれば、ブラックだった職場や上司は、いつの間にかかけがえのない大切なものになっているかもしれません。
タイパ、コスパが重視される世の中になってきたからこそ、大切にしたい考え方の一つだと思いませんか?
記事の執筆者
MASA
関西のとある田舎出身。新卒で入社した証券会社を半年で辞めてカナダ留学へ。帰国後は都内の外資系金融会社のミドル・バックオフィス担当。ハードに働く日々を過ごす。その後、憧れだった外資系銀行に転職。海外勤務を経験。退職後は地元で起業。途中、英系の外資系金融会社のプロジェクトに参画し、完全アウェーの職場で日々奮闘。帰国後、田舎の可能性を探求しながら日々泥臭く生きています。
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