ワンマン社長の特徴とは?メリット・デメリットの解説

ワンマン社長に悩まされていませんか?

本記事では、ワンマン社長の特徴、メリット・デメリットについて解説します。

ワンマン社長とは?

様々な定義があると思いますが、「社内の全ての意思決定をつかさどり、部下や他のメンバーに権限移譲をしない社長」という意味が一番わかりやすいかと思います。

具体例を挙げれば、営業時のセールストークの内容から、プレゼンテーションの資料のデザイン、社員の休暇の許可など、とにかく細かいところ全てをチェックし、それに対してあれこれ指示を出す。そんな社長のことをワンマン社長と言います。

ちなみに、日本に存在する企業の数は「約421万」と言われており、そのうち「99.7%」が中小企業であると言われています※。中小企業の社長はワンマンのイメージがありますが、実際に全ての社長がワンマンであるとは限りません。

※参考:経済産業省「最近の中小企業の景況について

そもそもワンマン社長になってしまう理由

ワンマン社長という言葉は、「勝手」「奔放」「独裁的」などのイメージがあり、正直あまりポジティブな意味で使われていません。おそらく、社長本人も「自分はワンマンである」という自覚はあるはずです。

ですが、それでもなぜワンマンと言われるような社長になってしまうのでしょうか?

これまでの自分自身の体験をベースに、その理由について解説をします。

①:部下を信用していない

部下を信用できない。だから、部下に仕事を任せられない。

心のどこかにそんな感情を持っているため、全て自分で意思決定してきた結果、それで事業がうまく回って成功してきた。そのため、ワンマンであることが「成功する要素」として強烈に社長の中の「成功体験」として残ります。

その結果、「やはり、自分は間違っていない」「自分はワンマン社長であるべきだ」という確信が社長の中で生まれ、自然と経営スタイルもワンマンになってしまいます。

実際、ワンマン社長の多くは才能に満ち溢れたユニークな方が多く、考え方やアイデアの着眼点が鋭い人が多いです。そのため、凡人にはそれを再現することはかなり難しく、自分と同じように結果を出せない部下を信用できず、自らをワンマン社長へと変貌させる社長は多いと思います。

②:実はかなり臆病だから

ワンマン社長=ゴリゴリ突き進むマッチョなタイプの人間、というイメージがありますが、実際は逆だと考えます。むしろ繊細で、臆病なタイプなのではないでしょうか。

仕事を任せた部下がミスをした際、その責任は会社の代表である社長にあります。「何かやらかしたらどうしよう…」「万が一、ミスしたらどうすれば…」そんな風に不安な気持ちがあるからこそ、全ての意思決定は必ず自分を介するようなシステムにしてしまうのは理解できます。

③:わかった上であえてワンマンになっている

ワンマンと批判されることを覚悟でワンマン社長を演じている。実はこのパターンが一番多いかもしれません。

なんだかんだ言っても、経営者と従業員とでは責任の重さが違います。部下は簡単に「うちの会社はこうあるべき!」とか「ここを改善すれば売上がアップするはず!」と言いますが、その失敗を受け入れるのは発案した部下ではなく社長です。

社長の立場からすれば、部下からの気軽な提案に対して「そんなことくらいわかっている!」「それができれば苦労しないよ。。。」という感情になることも多く、イライラすることもあるでしょう。

そもそもですが、社長は部下のために会社を経営しているわけではありません。意思決定の最終的な責任が自分にあるのであれば、責任者である自分で決めればいい。そんな様々な葛藤を経て出した答えが「ワンマン社長」というスタイルなのです。

ワンマン社長の特徴

では、ワンマン社長の特徴について解説をします。

強烈な成功体験がある

持ち前のユニークな発想と才能を活かし、圧倒的な結果を出した過去があるのがワンマン社長の特徴の一つ。そのストーリーに惹かれて、社長についていこうと思った方も多いのでは。

そんな「強烈な成功体験」があるからこそ、自分の発想が正しいと狂信的なまでに信じ込み、その思いの強さは凡人をはるかに超えます。

ワンマン社長にはそんな確固たる信念があり、それが結果としてワンマンという経営スタイルに投影されることになります。

自分の考えが一番正しいと思っている

先ほどの解説と重複する箇所もありますが、自分こそが一番正しいという信念を持っているため、そもそも人の言うことを聞くということができません。

わがままというよりも、自分の考えが優れているという自信と、それを裏付ける強烈な成功体験がエビデンスとしてセットになっているので、「他人の意見=あまり価値のないもの」として扱う傾向があります。

休日・祝日関係なしのハードワーク

ワンマン社長はとにかくハードワークをこなします。社長にとっては「自分の会社」というオーナーシップがあるため当然と言えば当然ですが、年齢関係なく「仕事命」という方が多いように思います。

会食や付き合いのゴルフなどで会社にいないこともあるかもしれませんが、「一番仕事をしているのは、やっぱり社長だかなあ…」そんな風に社内の人間が思えるような働き方をしているからこそ、求心力を失うことなく、組織が成り立っている部分もあるかもしれません。

人事は好き嫌いで行う

これはワンマン社長あるあるなのではないでしょうか。お気に入りの人間を可愛がり、痛いことをズバリという社員は干す。そんな好き嫌い人事を平気で実行するのもワンマン社長の特徴です。

気が付けば、社長の周りはイエスマンばかりというのもワンマン社長の特徴。究極的に言えば、本人が良ければそれでいいのでしょうが、働いている従業員の立場からすればあまり気持ちのいいものではありませんよね。

意外とブレる

芯があり、軸がしっかりとしているように思えるワンマン社長ですが、意外とブレることも多いです。朝には「こうやれ!」と言っていたことも、夕方には「やっぱりこれでいこう!」と方針転換することも日常茶飯事。こうしたことから「朝令暮改」という言葉を知ったという方も多いのでは?

また、お気に入りの人材からの意見などには積極的に耳を傾ける傾向があり、その内容がこれまでの自分の意見とは違っても、気づけたばあたかも自分のアイデアのように周りに対してアピールするというのも、社内では見慣れた光景なのではないでしょうか。

良くも悪くも面倒見がいい

兄貴分な性格の方が多いです。そのため、面倒見が良い人が多いです。

例えば、遅くまで仕事をしていたら帰りに食事に誘ってくれたり、ちょっとした差し入れをしてくれたり。普段鬼のような面を見せることが多いため、ちょっと人間味あるところを見るとグッときますよね。(それこそがマネジメント手法なのかもしれませんが。)

良くも悪くも公私分け隔てのない付き合いをしてくれるため、相談に乗ってもらう機会もあります。仕事だけではなく、人間的な魅力もあるワンマン社長。ただ、それをアットホームだと感じるのか、それとも暑苦しいと感じるかはあなた次第です…。

指示が抽象的であいまい

「名選手、名監督にあらず」。そんな有名な格言がありますが、ワンマン社長も同じ。その天才的な発想や行動力が明確に言語化できておらず、どちらかというと”感覚”で仕事をしている人が多いです。

そのため、業務上の指示が「お客様に喜んでもらえ」「ちゃんとやればできる」「真摯に向き合うことが大事」そんな抽象的な表現で説明される事が多く、最初はなんとなく分かった気になるのですが、よくよく考えると質問の答えになっていないよな、と思うケースがあります。

ワンマン社長のメリット

では、ワンマン社長のメリットを解説します。

責任の所在が明確である

全ての意思決定が社長によってなされるため、責任者=社長となります。確認すべき相手はとにかく社長とシンプル。従業員にとっては、仕事がやりやすい部分もあるのではないでしょうか。

意思決定のスピードが早い

いくつもの部署に対する根回しや承認作業。そんな決裁のフローにうんざりしている人も多いのでは。ワンマン社長がいれば、そんな面倒なことをせずに直接確認すればその場で「Yes」「No」の返事がもらえます。

このスピード感はワンマン社長だからこそできることだと思います。

従業員同士の結束が固くなる

ワンマン社長のもとでは「社長とその他大勢」のような組織になりがちです。つまり、社長をトップとして、あとは全員フラット。そんな組織の形は中小企業では珍しくありません。

結果、社長以外のメンバーの結束が固くなり、部門を超えた連帯感を見せることもあります。ワンマン社長としては若干孤独なシチュエーションかもしれませんが、従業員にとってはある意味連帯感を強く感じる”良い職場”という側面もあるのではないでしょうか。

ワンマン社長のデメリット

次に、ワンマン社長がもたらすデメリットを解説します。

意見を言う人がいなくなる

結局社長が全て決める。そんな組織であれば、何を言っても無駄だ。そんな風に思う社員が増えてきて当然です。

言っても無駄、やっても無駄。

そんな社内文化を作ってしまうと、新しいものが生み出せなくなります。そのようなネガティブな文化は、長期的に見た時に事業の成長機会を蝕む可能性が高いです。

優秀な人ほど会社を辞めていく

問題意識を持ち、仮説を立てて改善点を提案する。そんな人材はとても優秀であると考えられますが、ワンマン社長にとっては話は別。自分に対する嫌味、謀反、そんな風に捉えてしまい、「あいつは何もわかっていないくせに生意気だ!」と、意見した人間を遠ざけてしまいがちです。

結果、何もしない人の評価が相対的に上がり、優秀な人ほど不遇な扱いを受けるといういびつな社内状況になってしまいます。会社を去る人ほど優秀。そんなおかしな事態が当たり前の会社になってしまいます。

いつまで経っても社長頼みの組織から脱却できない

どこかで社長の負担を減らしていかなければ、組織として成長が頭打ちになります。本来、社長は新たな事業への取り組みや資金調達などの「前を向いたアクション」に軸足を向けるべきです。そいつまでも枝葉末節の意思決定に口出しをし、従業員が社長に依存している状態では、今後の会社としてのポテンシャルを失います。

社長は「経営者」としての仕事をする。そんな、当たり前のことを実行する体制こそが、健全な組織運営に必要です。

社内の人材が成長しない

ワンマン社長のもとでは、全ての意思決定の権限とその責任が社長にあります。そのため、従業員は社長に依存し、「社長がいないとわからない」「社長に確認しないと私ではわかりません」というセリフを頻繁に使う傾向があります。

この状態が長く続くと、さらに社長に対する依存度が増し、「社長がいないから…」「私には権限がないから…」そんな”言い訳”が当然の文化が育ってしまい、結果として成長する意欲のない人たちばかりになってしまいます。

成長意欲を失った人材ばかりの組織では、将来は暗いものとなってしまって当然です。

ワンマン社長への対策方法とは

もし、転職した会社がワンマン社長だった場合、どうすればいいのでしょうか。

その対策方法を解説します。

余計なことは言わずに仕事をする

ワンマン社長には、強烈な成功体験と自分に対する圧倒的な自信があります。常人をはるかに超える自己肯定感を持っているため、求められていない提言やアドバイスはやめておきましょう。

仮になんらかのアドバイスを求められたとしても、100%の意見を言うのはやめておいた方がベターです。社長の意見と違った場合、それが原因で機嫌を損ねてしまい、将来にわたってずっとネガティブな印象を持たれてしまうリスクがあります。

口は災いのもと。余計なことは言わずに仕事をするというスタンスを貫きましょう。

とにかく感謝の気持ちを伝える

ワンマン社長は兄貴分的性格を持っている事が多いため、常に誰かの役に立ちたいという欲求を持っています。「ありがとうございます!」「おかげで結果を出すことができました!」そんな言葉に敏感なのも特徴です。

もし、あなたが仕事で結果を出すことができたのなら、「○○さんの日ごろの指導のおかげです!」「○○さんがいなけば無理でした!」そんなセリフを恥ずかしげもなく言えるといいでしょう。それが相手のプライドをくすぐることになり、可愛がってもらうために必要なことです。

良き相棒的存在になる

ワンマン社長といえども孤独を感じることもありますし、誰かに話を聞いてほしいこともあります。そんな時、隣で話を聞くことができる存在になると、それだけで評価は上がります。

注意しなくてはいけないのが、余計な一言は無用ということ。決して否定はせず、出過ぎた意見は言わないこと。話を聞くだけで十分です。

社長の昔のやり方をマネする

成功体験を持つワンマン社長の場合、「おれは昔はなあ…。」と、社長が昔話をしてくれる機会があるのではないでしょうか?

例えば、社長が昔営業の仕事をしていた時代の話を聞いた場合、その昔話で教えてくれた営業ノウハウをマネしましょう。そして、「社長、僕、そのやり方で営業してみました!」そんな風に社長に伝えてみて下さい。

きっと、「おお、それで反応はどうだった?」「お客さん、取れるだろう?」と、喜んでくれるはずです。結果が出たのならなおさらです。ワンマン社長は昔の自分の姿をあなたに重ね合わせ、きっとあなたはお気に入りの人材になることができます。

そもそも社長とはワンマンだと考える

そもそもですが、ワンマンではない社長は存在するのでしょうか?もし、あなたが明日から会社の社長を任され、全ての責任を背負う形になるとした場合、「ワンマンにならない自信」はありますか?

冷静に考えると、社長には社長、従業員には従業員の立場から見える景色があり、それが一致することはありません。また、社長が自分の会社をより良くしたい、より大きくしたいと思っていることは当たり前で、おそらく、あなたが寝ている時も、休日に遊んでいる時も、会社のこれからの事を考えているはずです。

ワンマンな姿勢は、会社の未来を背負う社長なら当たり前、それだけの強い思いで会社を運営している。そんな風に考えると、少しは社長に対する見方が変わるのではないでしょうか?

ワンマン社長についていけない場合

もし、ワンマン社長についていけなくなったらどうすればいいのでしょうか。

詳しく解説をします。

対策方法①:職場を変える

人間には相性があります。どうしてもワンマン社長と合わない場合が出ても仕方ありません。そのような場合、無理をしてワンマン社長に合わせるよりも、職場を変えた方がいいでしょう。

組織において社長の存在は”絶対”です。従業員よりも大きな責任とリスクを背負っている以上、そこに対してはリスペクトしなければいけませんし、言うことは絶対が”暗黙のルール”です。

とはいえ、行き過ぎたワンマンではこちらの身が持たないこともあります。綺麗ごと抜きに、自分の心身の健康を考えることも必要です。

残念ながら、ワンマン社長にとってあなたは「従業員のうちの一人」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。「あ、こいつマジで無理。」そんな風に思うのであれば、それはあなたの体が出している黄信号のサイン。転職の準備を始めるタイミングだと思います。

対策方法②:転職も視野に入れ始める

様々な事情ですぐに職場を変えることができないかもしれません。それも踏まえ、新しい職場探しを今のうちから始めておくのも手です。

僕もこれまで何度も転職活動を経験していますが、いい仕事に出会うための秘訣は

  • 日ごろからの情報収集
  • タイミング(ざっくり言うと運)

この2点だと考えます。

情報収集しておくと、今のトレンドや大体の年収相場について理解することができるだけではなく、自分の本当にやってみたい仕事について理解を深めることができます。

また、転職市場に出てくる求人案件は常に目まぐるしく入れ替わっているため、情報収集が早ければ早いほど、より良い求人を見つける期待値もアップします。

今はリモートによる勤務もOKという企業も増えてきているだけではなく、フレックス制度を導入する企業も増えています。自分自身のこれからの可能性を広げるべく、新しい働き方を実践するような会社をチェックしてみるのもいいかもしれません。

対策方法③:副業を始める(※副業OKの場合)

ワンマン社長によって押さえつけられているため、今の職場ではやりたいことができない状態…。もしそうであれば、自分がやりたかったことを副業で実現させてみてはいかがでしょうか。

もちろん、今の会社が副業OKの場合に限ります。ですが、積極的に副業を始めてみることで、自身のスキルアップが可能となるだけではなく、収入もアップさせることができます。

複数の収入源を持つことは、今の職場への依存度を下げることに繋がり、結果的にワンマン社長への依存度も下げることになります。今の会社は会社で業務をこなしつつ、やりたいことを副業でやる。そんなバランスのとり方も、今の時代に合った働き方の一つだと思います。

本記事のまとめ

本記事では、ワンマン社長の特徴、メリット・デメリットについて解説しました。

個人的には、ワンマン社長がワンマンになってしまったことには様々な経緯があり、合理的な理由が存在すると考えます。良い、悪いで判断するのではなく、まずはそこに対してはリスペクトすることが大切です。

ワンマン社長にイライラすることもあるでしょうし、腹が立つこともあるでしょう。ですが、社長とはそういうもの。そんな風に思っておくと少しは気持ちも楽になると思います。

記事の執筆者

MASA

関西のとある田舎出身。新卒で入社した証券会社を半年で辞めてカナダ留学へ。帰国後は都内の外資系金融会社のミドル・バックオフィス担当。ハードに働く日々を過ごす。その後、憧れだった外資系銀行に転職。海外勤務を経験。退職後は地元で起業。途中、英系の外資系金融会社のプロジェクトに参画し、完全アウェーの職場で日々奮闘。帰国後、田舎の可能性を探求しながら日々泥臭く生きています。

MASAさんのHPはこちら
イナカノマサ(英語、キャリア、ライフスタイルについて発信しています)



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