企画の仕事に英語は必要なのか?企画職の人が英語を学ぶメリット・デメリットを解説

コロナ禍以来、海外移住に憧れを持つ人を中心に、英語を勉強しようと考える人が増えているようです。英語を使う仕事と言えば通訳やキャビンアテンダントなどの職種を思い浮かべる人が多いと思いますが、実際には多くの職種で英語の需要が高まっています。
この記事では、とくに企画職で英語を学ぶメリットやデメリットについて解説します。現在企画の仕事をしている人や、これから企画の仕事へ転職を考えている人は、記事の内容を参考にしてみてください。

企画職の仕事内容とは

はじめに、企画職の業務内容について説明します。

一般的に、企画職は組織や企業において戦略的な目標を達成するための計画を立案・実行する役割を持っています。具体的な仕事内容は組織や業界によって異なりますが、代表的なものは以下です。

・戦略的計画の策定
・プロジェクト管理
・マーケティング戦略の策定
・コミュニケーション戦略の策定
・成果分析と評価

上記は一般的な企画職の仕事内容ですが、組織やポジションによってさまざまな業務が追加される場合や、特定の領域に特化している場合があります。企画職は戦略的な思考力や分析力、コミュニケーション能力が求められる役割であり、組織の成長と発展に貢献する重要な役割を果たします。

戦略的計画の策定

企画職の代表的な職務は、組織のビジョンや目標に基づいた長期的な戦略計画の策定です。市場調査や競合分析を行い、現状の把握や将来の方向性を考慮しながら、組織の成長や競争力を向上させるための戦略を立案します。
企業の組織構造にもよりますが、経営戦略を専門的に扱う企画職は経営企画として切り分けられている場合があります。

プロジェクト管理

企画の実行に伴い発生する新製品やサービスの開発、マーケティングキャンペーンの実施など、様々なプロジェクトの計画・管理も業務領域です。予算の立案やリソースの調整、スケジュール管理などを通じて、プロジェクトの目標達成を推進します。

マーケティング戦略の策定

マーケティング領域における企画職の業務は、製品やサービスに関するマーケティング戦略の立案です。ターゲット市場や顧客のニーズの分析、市場動向の調査や競合分析を行い、効果的なプロモーションや広告キャンペーンを計画します。
最近は、企画職とマーケティング職が別個に設けられている企業も一般的です。

コミュニケーション戦略の策定

内外のステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーション戦略の策定も企画職の業務です。メディアリレーションの構築や広報活動の計画、社内外のコミュニケーションフローの設計など、情報の伝達や関係構築に関する戦略を立案します。
なお、企業によっては専任の広報職が担当している場合があります。

成果分析と評価

提案・実施したプロジェクトや戦略の成果を定量的・定性的に分析し、評価するのも企画職の業務です。データの収集や分析、レポート作成などを通じて、達成した成果や課題を把握し、次の戦略の改善に生かします。

戦略的計画の策定における英語を使えるメリット

企画職の代表的な職務として前述した<戦略的計画の策定>について、英語を使えるメリットには以下のようなものがあります。

・学習の効率化
・国際的なマーケット分析
・グローバルなパートナーシップの構築
・インターナショナルチームのリーダーシップ

学習の効率化

英語を使える人は、英語圏のビジネス書籍や専門書、研究論文などの情報にアクセスできるため、世界各地の最新のビジネストレンドや戦略的なアイデアに触れることができます。英語圏の成功事例やベストプラクティスを学び、自身の戦略に活かせるでしょう。

国際的なマーケット分析

英語を使える人は、英語圏の市場調査や競合分析レポートにアクセスできます。これにより、国際市場のニーズやトレンドを把握し、それに基づいて効果的な戦略を立案することができます。また、英語を使って外国の顧客やパートナーと直接コミュニケーションを取り、市場の洞察を得ることもできるでしょう。

グローバルなパートナーシップの構築

英語を使える人は、英語圏の企業や専門家との連携やパートナーシップを構築することができます。異なる国や文化のビジネスパートナーとの協力により、新たなビジネス機会や戦略的な提携の形成が可能です。

インターナショナルチームのリーダーシップ

海外企業やグローバル企業と協業する場合、多国籍なチームでの戦略的計画策定では、英語を共通のコミュニケーション言語として使用することが一般的です。英語を使える人は、国際的なチームのリーダーシップを取ることができ、メンバー間の円滑なコミュニケーションや意思疎通を促進できます。

プロジェクト管理における英語を使えるメリット

次に、前述の企画職における<プロジェクト管理>について、英語を使えるメリットには以下のようなものがあります。

・グローバルなサプライヤーやベンダーとの協力
・マトリックス型組織でのプロジェクト管理
・国際的なプロジェクトの管理

グローバルなサプライヤーやベンダーとの協力

プロジェクトにおいては、サプライヤーやベンダーとの連携が重要です。英語を使えることで、国際的なサプライヤーやベンダーとの交渉や契約、要件の調整などをスムーズに進めることができます。
また、グローバルな市場での調達やリソースの確保においても、英語を使ったコミュニケーションが必要です。

マトリックス型組織でのプロジェクト管理

多くの組織では、プロジェクトが横断的な部門にまたがって展開されることがあります。英語を使えることで、異なるチームや部門との協力やコーディネーションを円滑に行えます。異なる専門領域や文化を持つメンバーとの意思疎通を図り、プロジェクトの進行や成果を最大化が可能です。

国際的なプロジェクトの管理

グローバルな企業や組織では、国境を越えたプロジェクトの管理が行われることがあります。英語を使えることで、異なる国や地域のチームとのプロジェクト管理がスムーズに行えます。プロジェクトの計画やスケジュールの調整、進捗の追跡、リスク管理などを円滑に行い、目標達成をサポートできるでしょう。

マーケティング戦略の策定において英語を使えるメリット

企画職がマーケティング戦略の策定において英語を使えるメリットは、次のようなものです。

・グローバルな市場へのアクセス
・グローバルな競合分析とマーケットリサーチ
・インターナショナルなマーケティングコミュニケーション
・グローバルなパートナーシップの構築

グローバルな市場へのアクセス

英語を使えることで、グローバルな市場にアクセスし、マーケティング戦略を立案することができます。英語は国際的なビジネスの共通語として広く使用されており、英語を理解し、使いこなすことで、異なる国や地域での消費者行動や市場動向を把握し、グローバルなマーケットにおける競争力を高めることができるでしょう。

グローバルな競合分析・マーケットリサーチ

英語を使えることで、英語圏の企業やブランドの競合分析が可能です。英語圏の競合他社のマーケティング戦略やキャンペーン、ブランドメッセージにアクセスすることで、市場のトレンドや成功事例を把握し、自社の戦略に活かせます。
また、英語はマーケットリサーチにも役立ちます。英語を使って市場調査レポートや消費者インサイトの分析、顧客の声の収集を行えば、マーケティング戦略の改善や最適化をより効果的に行えるでしょう。

インターナショナルなマーケティングコミュニケーション

英語を使えることで、インターナショナルなマーケティングコミュニケーションを行うことができます。グローバルな市場に向けた広告、プロモーション、コンテンツなどを英語で作成し、効果的にターゲットオーディエンスに伝えることができます。また、英語を使ってソーシャルメディアやオンライン広告などのグローバルなマーケティングチャネルを活用することもできる点もメリットです。

グローバルなパートナーシップの構築

企画職の人が英語を使えれば、グローバルなパートナーシップを構築する機会が増やせるでしょう。英語圏の企業やブランドとの提携や共同プロモーションを行うことで、相互のブランド価値を高め、市場拡大や新たなビジネスチャンスを創出が可能です。

コミュニケーション戦略の策定において英語を使えるメリット

企画職がコミュニケーション戦略の策定をする場合、英語を使えることによるメリットは以下のようなものです。

・ステークホルダーとのコミュニケーション
・グローバルなコミュニケーションチャネルの活用
・マーケット動向の把握
・グローバルなブランドメッセージの開発

ステークホルダーとのコミュニケーション

グローバルなビジネス環境では、さまざまな国や文化のステークホルダーとのコミュニケーションが必要です。英語を使えることで、異なる言語や文化を持つステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取ることができます。国際的なクライアントやパートナーとの関係を築き、効果的なコミュニケーション戦略の策定に役立ちます。

グローバルなコミュニケーションチャネルの活用

英語を使えることで、グローバルなコミュニケーションチャネルの活用が可能です。英語を使ったウェブサイト、ソーシャルメディア、ブログ、ニュースレターなどのコンテンツを作成し、グローバルなオーディエンスに向けて情報を発信することで、よりマスに向けてアプローチできます。

マーケット動向の把握

英語を使えることで、英語圏のマーケット情報やトレンドを把握できます。英語の情報源や市場レポート、ビジネスニュースなどを活用して、国際的なマーケット動向や競合情報を収集すれば、コミュニケーション戦略をより効果的なものに調整できるでしょう。

グローバルなブランドメッセージの開発

英語を使えることで、グローバルなブランドメッセージを開発することができます。英語を使ったコピーライティングやブランドストーリーテリングにより、異なる国や文化のオーディエンスに対して魅力的で効果的なメッセージを伝えることができます。グローバルなブランドイメージを構築し、国際的なマーケットでの競争力を高めることは、今後ますます重要になってくるでしょう。

成果分析と評価における英語を使えるメリット

企画が英語を使えるメリットは、施策の策定と実行だけで得られるわけではありません。その後のプロセスである成果分析と評価においても、以下のようなメリットを得られます。

・データ分析
・パフォーマンス指標の比較
・グローバルな報告書やプレゼンテーション
・フィードバックの収集

データ分析

英語で書かれた市場調査データや分析レポートを読み解き、国際的な視点でデータを分析することで、グローバルなマーケットのトレンドや顧客の嗜好を把握して成果分析や評価をより的確に行うことができます。

パフォーマンス指標の比較

企画が英語を使えれば、異なる国や地域のパフォーマンス指標の比較が可能になります。具体的には、英語で書かれた業績レポートや競合他社の成果分析結果を参照し、自社のパフォーマンスを評価することにより、国際的な基準やベンチマークに基づいて成果を評価して改善策や戦略の調整を行えるでしょう。

グローバルな報告書やプレゼンテーション

英語を使えれば、企画に関する報告書やプレゼンテーションを英語で作成できます。質の高い英語で的確かつ鮮明なレポートやプレゼンテーションを作成し、国際的なステークホルダーに対して成果や評価を効果的に伝えることができます。グローバルなプロジェクトやグローバルなチームとのコミュニケーションにおいて、英語を使った報告やプレゼンテーションが重要なのは言うまでもありません。

フィードバックの収集

英語を使えることで、グローバルなフィードバックを収集し、成果を評価することができます。英語を使って顧客やパートナーからのフィードバックや評価を受け取り、それを成果分析に反映させることができます。国際的な視点からのフィードバックを取り入れることで、戦略や施策の改善につなげることができるでしょう。

デメリットは学習にかかる時間と労力

英語を学習する際、企画に限らず、以下のようなデメリットがあります。

・時間と労力の要求
・苦手意識や自信の欠如
・文化や背景の違いへの適応
・発音や文法の難しさ
・モチベーションの低下

時間と労力の要求

英語を学習するには時間と労力が必要です。新しい言語を学ぶためには、定期的な学習や練習の取り組みが必要です。学習に時間を割くことや継続的な努力が求められるため、忍耐力とコミットメントが必要と考えられます。

苦手意識や自信の欠如

初めて英語を学ぶ場合やコミュニケーション能力に自信のない場合、自己効力感や自信の欠如が生じることがあります。新しい言語を使ってコミュニケーションすることは、間違いや誤解が生じる可能性があるため、苦手意識を感じることがあります。人によっては挫折の大きな原因となるため、注意が必要です。

文化や背景の違いへの適応

英語を学ぶ際には、英語圏の文化や背景にも触れることになります。文化の違いや異文化間のコミュニケーションの壁に直面することがあり、適応や理解が必要となる場合があります。

発音や文法の難しさ

英語は発音や文法のルールが複雑な言語の一つです。正確な発音や文法をマスターするためには時間がかかることがあり、初学者にとっては難しい要素となることがあります。

モチベーションの低下

英語学習は継続的な努力が必要なため、モチベーションが低下することがあります。特に途中で挫折感を感じたり、成果がなかなか出ない場合には、学習意欲を保つことが困難になることがあります。

企画の仕事に役立つ英語力の基準はCEFRのレベルB2以上?

CEFR(セファール)とは、ヨーロッパ言語共通参照枠と訳されている、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を表す場合に用いられるガイドラインで、英語を含む40の言語で参照枠が提供されています。
1980年代から1990年代後半にかけて、欧州評議会(Council of Europe)が「ヨーロッパ市民のための言語学習」プロジェクトを推進した際の基準になりました。
企画を含め、仕事に役立つ基準とされているCEFRのレベルB2は6段階の下から2番目です。「基礎段階の言語使用者」に位置付けられており、CEFR以外の検定試験に換算すると、以下だとされています。

ケンブリッジ英検120-139
英検1700-1949 (おおよそ英検準2級相当)
IELTS該当なし
TOEFL iBT該当なし
TOEFL L&R+S&W625-1145
参照:【2022】CEFR(セファール)の各レベルを解説!主要英語検定試験のスコアに換算すると?

ただし、上記はあくまでも目安です。実際に業務で求められる英語のレベルは企業やポジションにより異なることを頭に置いておいてください。

日本では一般的にTOEIC800点以上が必要と言われている

一般的にTOEIC800点程度がビジネス英語として使える英語力の基準と言われています。
TOEIC800点は、「英語が十分にできる」レベルとされており、ビジネスシーンでも困ることなく英語でコミュニケーションがとれる状態です。
ただし、企画と一口に言っても業界や企業によって担当領域が異なるうえ、専門性が高い場合はTOEIC800点の英語力でもわからない内容が出てくると推測できます。とくに外資系企業ではその傾向が強いため、英語力の詳細が気になる人は「外資系で必要な英語力とは」を確認してください。

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